ソーシャルワーカーデー

ソーシャルワーカーデー2022 in ぐんま 開催報告

今年で9回目となるソーシャルワーカーデー2022 in ぐんまが7月23日(土)に群馬県社会福祉総合センターにて開催されました。
このイベントは、群馬県社会福祉士会・群馬県精神保健福祉士会・群馬県医療ソーシャルワーカー協会の三団体合同の実行委員会により、毎年開催されています。今年の幹事団体は群馬県社会福祉士会です。
本年度は約250名の参加がありました。ありがとうございました。
今年のメインテーマは
『制度の狭間を支えるソーシャルワーカー ~バルネラブルな人々への支援について~』です。
※以下は、HP委員会担当者の参加メモとしてご覧ください。
【研修名】ソーシャルワーカーデー2022 in ぐんま
【日 時】令和4年7月23日(土)13:00~16:00
【会 場】群馬県社会福祉総合センター7F体育室および
Zoomミーティングを使用したオンライン開催
【内 容】下記のとおり
<第1部・講演>
「ひとりにしないという支援」~今日も順調問題だらけ~
講師:認定特定非営利活動法人 抱樸 森松 長生 氏
◆講演:助けてと言える社会を目指して
・法人の活動紹介
ホームレスの自立支援に取り組み、3,700人以上の支援実績がある。
9割以上の方が自立することができた。
抱樸→とげとげした原木のような人を受け入れるという意味を持っている。
・貧困と孤立の問題
非正規雇用と正規雇用の収入の格差が孤立につながっている。アメリカと日本の貧困率に大きな差はないが、社会的孤立には大きく差が開いている。アメリカはお金がないが友達がいる。日本は、お金なく、友達もいない。
・高齢者の孤立問題
高齢者は、救急搬送の要請件数は多いが、重症性・緊急性に乏しい。
→助けてくれる人がいない、不安の中にいるため、24時間・365日対応してくれる救急車を頼るしかない。孤立からくる問題と考えられる。
・地域包括ケアシステム
土台(土壌)となる家族が整っていることが前提のシステムではないか。困窮・孤立している人たちには、その土壌部分がない。ベースとなる家族が担っている部分の役割にはお金がつかない。土壌となる部分の役割が大きな問題となっている。
・伴走型支援の理念
「断らない」
問題解決のみを目的とするのではなく、つながりを持つ、切らない関係をつくる。
私たちの仕事は、多くは支援(プラン)全面拒否が支援のスタート。福祉の仕事は、クライアントの主体性は重要だが、支援者の主体性も重要である。支援者が自立してほしいという思いとクライアントの思いのぶつかり合いが必要。支援者の主体性を伝える必要がある。つながり続けることで、支援を始めるタイミングを待つ。つながるということが目的で、そこから問題解決を目指していく。
「家族機能の社会化」
社会構造の変化で、制度は拡充してきたが、家族・地域・企業の役割が縮小してきたために、その間に新たな狭間が生まれてきている。家族機能が失われていくなかで、家族機能の社会化が必要ではなないか。家族が担っていた様々な機能をどう社会で担っていくか、これがソーシャルワーカーの仕事ではないか。
「二つの困窮を支援する」
ハウスレスとホームレス。家があっても帰るところがない、親がいても誰からも心配されていない。支える人と支えるものそれぞれが必要。
「まるごと支援」
要支援者に様々な制度が関わっている。制度(属性)で見てしまうとできることが限られてしまう。属性・一部の視点で見ないで、制度横断的にまるごと支援する。
「アウトリーチ重視」
助けてと言えない理由①…自己責任論社会
相談に来られない、助けてと言えない人が一番困窮している(問題を抱えている)。
迷惑をかけない家族はいない、だれも問題起こさない地域はない。
→支えあうのが家族、地域ではないか。
助けてと言えない理由②…社会的孤立・他者無き状態
外からの視点を伝えてくれる他者がいない。自己認識不足。
「地域づくり」
すべてのものを遠慮せずに使う。すべてが仲間。そこから、地域づくりがはじまる。それがソーシャルワーカーの仕事。
『今日も順調問題だらけ!』(北海道ベテルの家、向谷地氏の言葉)
問題を特別なことではなく、人間の営みの普通のことだと受け入れる。
ソーシャルワークでは、行き詰まることがある。こういうことがある、大丈夫と互いに声をかけながら、支援活動を続けていくことが大切。

(講師:森松 長生 氏)

 

<第2部・実践報告>
報告①:群馬県地域生活定着支援センター 高津 努氏
(群馬県社会福祉士会)
『つなぐ支援の中で大切にしていること
~群馬県地域生活定着支援センターにおける実践から~』
●罪を犯した高齢者や障碍者の実態。
・高齢者になるほど再入者の割合が高い。
・精神障害のある者は15%、知的障害の疑いのある者19.2%
●地域生活定着支援センター開始前の状況
●地域生活定着支援センターの仕事内容
●各ケースの紹介。
・地域の中で安心した生活を送れることが再犯防止につながる。
・制度にはつながっているが、人とつながっていない。
・ジェネラリスト(総合職)の視点やさまざまな専門領域、
機関の人々がネットワークとつくって連携する。
●大切にしていること
・「本人がどうしたいか」がとても大切。
・不適切な行動を「トラブル」「問題行動」とラベリングしない。
・「居心地が良い場所」で「出番(役割)」をもち、「自信」と「誇り」をどう持てるかが大切。

(実践報告① 高津 努氏)

報告②:高崎中央病院 富岡 真理子氏
(群馬県医療ソーシャルワーカー協会)
『「狭間」が教えてくれるもの』
●”狭間”とは何か? ”狭間”はなぜあるのか?
・少子高齢化、公助の限界。
・「社会的孤立」孤独、孤立や生活困窮の問題を抱える人や世帯の増加
・「制度の狭間」制度が対象としない生活課題、受給要件を満たさない生活課題
→地域づくりを支える存在としてのソーシャルワーカーへの役割として期待されている。
●バルネラブル・モデル
・「傷つきやすい」立場に置かれる存在であっても、義務を履行できなければ「契約」が成立しない。最も必要とする人がケアされない構造ができてしまう。
→ケアを社会の責任として捉える提言がなされた。
●バルネラブル・パーソン
・社会的な要因によってバルネラブルな状態に陥っている個人の存在。
・ある害悪を受ける危険にさらされた人
・バルネラブルな個人を生み出す社会の状態
●各事例の紹介
●社会への信頼回復とSWの責務
社会への信頼を取り戻すために、個人の尊厳を大切にする社会に向かって、社会を変える萌芽が個別の実践に潜んでいる。
「狭間」はそれに気づかせてくれる重要な事象。

(実践報告②:富岡 真理子氏)

報告③:医療法人群馬会くわのみハウス 横澤 岳志氏
(群馬県精神保健福祉士会)
『くらしを支える』
●所属機関の概要
●各ケースの紹介
様々な環境や生活状況で暮らしている人々の事例を紹介。
●まとめ
・忙しぶって、対応を後回しにしない。
優先度を考慮しながら調整して、目の前の利用者にかかわる。
利用者との出会いは「一期一会」。
・暮らしの一場面を出来るだけ共有。
利用者の支援は、その人の暮らしの真っただ中(現場)で行う。
・「可能な限り、地域での暮らしを続ける」を支える。
どうしたら、今の生活をこのまま続けることが出来るか考えて、アイデアを出す。


(実践報告③:横澤 岳志氏)

 

★パネルディスカッション
コーディネーター:北爪克洋氏(群馬県社会福祉士会)
講評:森松長生氏
パネラー:高津努氏(群馬県社会福祉士会)
富岡真理子氏(群馬県医療ソーシャルワーカー協会)
横澤岳志氏(群馬県精神保健福祉士会)
●「狭間」を支えていくソーシャルワークについて
・まずは知ってもらうことが最初。成功体験を一緒に。
・多職種との連携。何かあった時に聞ける間柄を形成することも大切。
・同じ地域の中で、様々なヘルパーやケアマネジャーなど多くの支援者と繋がることの大切さ。日頃から繋がっていることで何かあった時にすぐに対応ができる。
・年齢や障害などで対象を限定することなく、問題を発信できない人すべてに対してアクションを起こすことが重要。
・「隙間」「狭間」ということを意識し過ぎない。
・支援者側がストレスなく接することで、ポジティブに支援できるようになる。
★様々な場面で活躍するソーシャルワーカーに向けて
・組織のルールがあるが、個性(自分らしさ)を見つけて支援を続けてしてほしい。
・対面で会話することにより多くの情報が得られる。
「人って面白い」って思ってほしい。
・まずは対象者と向き合ってほしい。対象者から学べることはたくさんある。
いろいろなことにチャレンジしてほしい。多くの人と繋がっていくことが大切。

(コーディネーターの北爪克洋氏とパネラーの高津氏、富岡氏、横澤氏)

<閉会挨拶>


(閉会挨拶 新木会長、林会長、狩野会長)
(お問い合わせ:群馬県社会福祉士会 事務局まで 027-212-8388)

※公式Facebookでも当日の様子がご覧になれます。
群馬県社会福祉士会公式Facebook:https://www.facebook.com/gunmacsw

ソーシャルワーカーデー2022 in ぐんま 資料集

 

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ソーシャルワーカーデー2019 in ぐんま

ソーシャルワーカーデー2018 in ぐんま
ソーシャルワーカーデー2017 in ぐんま

ソーシャルワーカーデー2016 in ぐんま
ソーシャルワーカーデー2015 in ぐんま
ソーシャルワーカーデー2014 in ぐんま
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